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2016.05.20


カーキという色

 

 

 

 

こちらの色。

今シーズン間違いなく注目のカラーなのですが、皆様はこの色をなんと呼びますか?

『カーキ』と呼ぶ方が多いのではないでしょうか。

ところが『カーキ』というと

 

 

 

 

 

この色を思い浮かべる人も多くいるはずです。

ずいぶん、違います。どうして同じ「カーキ」でここまで異なるイメージがあるのでしょう。

 

この謎を追いかけると、なかなか面白いものでした。

 

言葉を調べるならまずは国語辞典から。

《カーキはkhaki (土ぼこりの意で、もとウルドゥー語)から》黄色に茶色の混じったくすんだ色。軍服などに用いられる。枯れ草色。

(大辞泉)

 

インド駐在のイギリス軍がどうせ汚れるならはじめから汚してしまえ、ということで、白の夏服を砂色に染めたことが、軍用色としての起源といわれています。ホワイトバッグスを予め汚したというダーティーバッグスにもいえますが、欧米人の感覚はオモシロイですよね。

軍装といえば赤色など派手なカラーリングだったものが、インド在住軍だけでなく、次第に環境に環境に溶け込むような土色に変わっていき、以降各国で軍服のスタンダードなカラーとして使われていったのですが、このあたりで英語圏で「カーキ」という言葉に「軍用色」、さらには「軍隊」という意味までついたそうです。

 

いわゆる「グルカ・パンツ」もこの頃に生まれたミリタリー・ウエア。

(オリジナルは持っていないので、弊社のグルカ風・ショーツの写真)

 

 

 

 

 

 

ここまででは自然に考えれば土の色であるこちらの色のはず。

 

 

 

 

 

 

ではなぜこの色も含めて「カーキ」と呼ばれるようになったのか。

 

2つの大きな戦争以降、戦線が広がり森林でも目立ちにくいオリーブグリーンの軍服が増えました。特にアメリカはその後も朝鮮戦争、ベトナム戦争と、森林でのゲリラ戦が増えますので、陸軍では益々オリーブグリーンが重要なカラーとなっていきます。

 

一方で第二次大戦以後、大量に余った軍服が放出品として一般に広がります。

60'sではモッズがM-51(いわゆるモッズパーカー)を着てスクーターに乗り、70'sにはヒッピーが迷彩服を着てラブ&ピース。ミリタリーアイテムがファッションになりました。

 

写真集『THIS IS MODERN LIFE』より。

 

つまり、これらが同時期であったために、オリーブグリーンを指して『カーキ』というイメージが広く一般に(とくにファッションの世界で)定着したのではないか、ということです。

 

言葉は時代によって変化していきますので、やっぱりどちらもカーキで良い、ということになりますが....

今後はもっともっと「カーキ」は「オリーブグリーン」を指す言葉になっていくと思います。

 

ちょうどいま、その過渡期にいるんだなあと思うと、非常に興味深いと思いませんか?

こんな奥深さのある、カーキという色が僕は大好きです。

 

 

 

 

 

店頭ディスプレイも、ただいまカーキ1色!です。

 

京都店 泉

 

 

参考文献:『米陸軍軍装入門』『繊維素材辞典』『南アフリカの人種差別』『世界の軍服』『イラスト・ルポの時代』

 

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